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個人再生

個人再生手続は、自己破産と同じく裁判所を通して負債の額を減らし、残額を分割払いしていく方法です。

自己破産では債務全額の免責を目標としますが、その反面、住宅や価値の高い財産を所有しているとそれも手放さなくてはなりません。

これに対し、個人再生では、裁判所の認可を受けた再生計画にしたがって、収入の一定部分を債権者に対する返済にあてていくことになりますが、そのかわり、たとえ、住宅を所有し ていて、住宅ローンが残っていても、自宅を手放さなくてよくなります。

また、自己破産と違って、一定種類の職業に対する制限もありません。会社の役員や警備員 や弁護士、司法書士も、その資格が影響を受けることはありません。

個人再生の詳細と手続きの流れ

1. 自己破産とはどう違う?

  1. 自己破産では、債務者が住宅を保有していると、最終的には手放さなくてはなりません。これに対し、個人再生手続では、住宅ローン特則を利用すれば債務者は、住宅を保有したまま債務の整理をすることができます。
  2. 自己破産手続では、ギャンブルや浪費による債務は免責不許可事項に該当するため免責が受けられない場合がありますが、個人再生手続では浪費やギャンブルによる債務についても、一部免除が受けられます。
  3. 自己破産すると、一時的ですが、弁護士、司法書士、公認会計士、税理士、弁理士、公証人、不動産鑑定士、土地家屋調査士、宅地建物取引主任者、証券会社外務員、生命保険外務員、警備員、取締役などになれなくなり、これらの職業・資格を有する人は、職を失う可能性があります。 これに対し、個人再生手続では、申立をした債務者が職を失ったり、資格を失うことはありません。

2. 個人再生手続とはおおよそこんなもの

  1. 支払不能のおそれ、または支払困難
      ↓
  2. 相談
    受任・委任契約締結
      ↓←受任通知・取引履歴開示請求
  3. 債権調査
      ↓
  4. 返済計画・方針決定
      ↓
  5. 地方裁判所に申立
      ↓
  6. 個人再生委員の選任
      ↓
  7. 裁判所による開始決定
    (裁判所による債権申出期間・一般異議申述期間の指定)
  8. 債権の届出・調査・確定
    (みなし債権届出・債権者による債権届出・債務者による意義申述・債権者による評価申立)
      ↓
  9. 再生計画案の作成・提出
      ↓
    小規模個人再生の場合:書面決議
    給与所得者等再生の場合:意見聴取
      ↓
  10. 再生計画認可決定

3. 申立てに必要な書類-その1

  1. 申立書
  2. 収入一覧および主要財産一覧
  3. 債権者一覧表
  4. 委任状
  5. 住民票

4. 申立てに必要な書類-その2

(1) 小規模個人再生
  1. 確定申告書、源泉徴収票その他の再生債務者の収入の額を明らかにする書面の写し
  2. 個人再生委員が指定する書面

(2) 給与所得者等再生
  1. 源泉徴収票または課税証明書(直近1年分)写し
  2. 給与明細書(2ヶ月分)写し
  3. 個人再生委員が指定する書面

5. 申立てに必要な書類-その3

  1. 再生債権者代理人宛て封筒
  2. 知れている再生債権者宛て封筒
  3. 申立手数料(貼用印紙額) 1万円
  4. 裁判所予納金 11,928円(3回分の官報広告費用) 裁判所口座に振込む
  5. 分割予納金 個人再生委員の口座に振込む
  6. 郵券 1600円(80円×15枚、20円×20枚)
  7. 債権者通知用郵券は、別途封筒に添付して提出する

6. 小規模個人再生

(1)小規模個人再生手続とは
将来において継続的または反復して収入を得る見込みのある個人が利用できる制度です。
サラリーマン、年金生活者をはじめ、自営業者や農家も利用できます。

(2)消極的同意要件(書面決議)
小規模個人再生手続において再生計画案が認められるには、債権者の消極的同意がひつようとなります。

すなわち、再生計画案に不同意の旨を書面回答した議決権者が議決権者総数の半数に満たず、かつ不同意議決権者の議決権額(金額)が、議決権の総額(金額)の半数を超えない場合可決
とみなされます。

(3)最低弁済額基準
小規模個人再生において再生計画案が認められるためには、弁済総額が「最低弁済額基準」と「清算価値保障原則」の2つの用件を満たしていなくてはなりません。

最低弁済額基準とは具体的に言うと次のようなものです。
  1. 基準債権の総額が100万円未満のときはその金額
  2. 基準債権の総額が100万円以上500万円未満のときは100万円
  3. 基準債権の総額が500万円超、1500万円未満のときは基準債権総額の5分の1
  4. 基準債権の総額が1500万円以上3000万円以下のときは300万円
  5. 基準債権の総額が3000万円超、5000万円以下の場合は基準債権総額の10分の1


(4)清算価値保障原則
弁済総額が破産手続きの場合の配当額を下回らないという要件です。

7. 給与所得者等再生手続

小規模個人再生手続を利用できる人のうち、給与またはこれに類する定期的収入を得る見込みのある人で、その変動の幅が小さいと見込まれる人が利用できます。

サラリーマン、公務員、年金生活者などが考えられます。

給与所得者等再生手続を利用できる人は、当然のことながら小規模個人再生手続も利用できることになります。

過去に破産免責を受けている場合、免責決定確定の日から10年間は給与所得者等再生手続を利用することはできません

8. 債権届出と債権調査

債務者による債権者一覧表の提出→異議のある債権者による債権届出→再生債務者による認否 (認否書の提出)
  1. 異議のない債権者は債権の届出をする必要がありません。債権の届出をしない限り、債権者一覧表記載の再生債権の届出があったものとみなされます。(みなし債権届出)
  2. 債権者一覧表の再生債権および再生債権者が債権届出した再生債権については、再生債務者および他の再生債権者は、裁判所が定めた異議申述期間内に異議の申述ができます。
  3. このようにして異議の提起された再生債権については、再生債権者、「評価申立」をすることができます。評価申立がなされると、裁判所は個人再生委員に債権の調査をさせ、個人再生委員の意見を聞いたうえで再生債権の評価の裁判を行い、債権額を確定させます。

※なお、小規模個人再生手続では債務者による認否書の作成の手続を採用していないが、東京地裁では債務者に債権認否一覧表を提出させ、さらに届出債権に異議がある場合は別途異議申述書を提出させています。

9. 再生計画の認可・不認可

裁判所による認可・不認可の決定がなされます。
個人再生委員が選任されている場合は、その意見書を参考にして、決定がなされます。

10. 再生計画認可決定の確定

(1)再生計画認可決定後、即時抗告期間の経過により確定します。

(2)確定の効果
  1. すべての再生債権が再生計画で定められた権利の変更条項の基準に従って変更される期限未到来の債権
  2. 期限未到来であっても、現在価値を算定して、他の債権と同様に、再生計画に従った権利変更の効力を認める
  3. 再生計画認可確定後に判明した債務
    認可確定後に判明した債務については、債務者に予想外の負担となる一方、これを免責すると債権者の保護に欠ける、よって権利変更の効力は及ぼすが免責まではしないこととした。よって、再生計画の進行の妨げとならないよう、劣後的取扱いをし、原則として、再生計画の弁済期間が満了するまで、これらの劣後的債権は弁済を受けることができない。

11. 再生計画の変更

  1. やむをえない事由で再生計画の遂行が著しく困難となった場合、再生計画の変更ができることもあります。
  2. 変更の内容としては、弁済額の増減は認められず、弁済期限の延長に限り認められます(最大2年まで)。

12. 共益債権(再生手続によらず、
   再生債権に先立って弁済される

  1. 再生手続開始の申立費用・保全処分の費用
  2. 再生手続開始後の再生債務者の業務、生活、財産の管理・処分に関する費用の請求権(再生債務者が業務で使用する工場の賃借料・生活に必要な電気料、水道料等) 
  3. 再生計画の遂行に関する費用の請求権
  4. 再生委員の費用の前払い及び裁判所が定めた報酬の請求権
  5. 再生債務者が再生手続開始後にした資金の借入その他の行為によって生じた請求権
  6. 事務管理または不当利得により再生手続開始後に再生債務者に対して生じた請求権
  7. その他再生債務者のために支出すべきやむをえない費用の請求権で、再生手続開始後に生じたもの
  8. 再生手続開始決定により中止または効力を失った破産,強制執行等の手続のために再生債務者に対して生じた債権・費用請求権等
  9. 再生手続開始当時,再生債務者及びその相手方がともに履行を完了していない双務契約について,債務の履行が選択された場合の相手方が有する請求権

13. 一般優先債権
  (再生手続によらないで随時弁済される)

  1. 一般の先取特権
  2. 商法上の会社使用人の先取特権
  3. 租税債権
  4. 滞納処分の例により徴収することができる債権(健康保険料,国民健康保険料)

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